1)伊豆諸島域におけるフィリピン海プレート収束速度の議論 八丈島、神津島、御蔵島、青ヶ島においてGPS連続観測を継続し、銭州岩礁において臨時GPS観測を実施した。そして、プレート収束運動に関して、その時空間的変動が明確となった。 まず、時間変化の議論を八丈島における連続観測で検討した。1993年以降に観測された水平変動ベクトルがわずか10-20%の時間変化しか示さず、収束運動は時間的に一定という結論を得た。 つぎに、空間分布として、銭州岩礁におけるGPS観測を議論した。プレートモデルによる収束速度とよく一致した水平変動がGPS観測から求まり、同岩礁南部でのプレート沈み込み運動が否定的で、銭州岩礁まで一枚のプレートとして収束していることが明らかになった。 2)伊豆諸島の島内における局所的な地殻変動の検討 三宅島、神津島、八丈島において、それぞれ島内の10-20点においてGPS観測を実施した。三島ともすでに1回以上の観測を実施しており、地殻変動の議論を試みた。 とりわけ、神津島において顕著な地殻変動が検出された。島の直径が2-4kmに過ぎない神津島であるが、わずか1年に3-4cmに達する地殻変動が観測され、周辺域での群発地震活動などや国土地理院が実施する新島でのGPS観測の結果などを考慮すると、神津島では火山活動に伴う顕著な地殻変動が、島北部もしくは神津島・式根島間を中心に進行していると考える。 八丈島でも島南部の地熱帯で比較的顕著な地殻変動が観測された。伊豆諸島におけるテクトニクスを議論する上で島内の地殻変動の解明が重要なことを具体的に示した。
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