研究概要 |
1. 伊豆諸島,フィリピン海プレート北端におけるプレート収束運動 本研究では1995年以降八丈島をはじめとする伊豆諸島で各島に1点ながらもGPS連続観測を,そして,駿河トラフに近接する銭州岩礁で繰り返しGPS観測を実施し,フィリピン海プレート北端部の水平変動を議論した.その結果,八丈島ではプレートモデルより推定されるプレート収束速度が時間的にもコンスタントに観測された.しかし,銭州では1996-1997年に北西方向,1997-1998年に西方向と45度も変化することが本研究から明らかになった.既存のVLBIやGPS観測から,フィリピン海プレートの収束速度は比較的に時間的にも一定と考えられてきたが,プレート境界のごく近傍域では時間的に揺らぐと考えられる.今後の確証が必要だが,ユーラシアプレート内における地殻変動の時間的な揺らぎの議論と密接に関連し,プレート間相互作用も含めて,プレート沈み込みモデルに関する新たな展開が期待できると期待する. 2. 伊豆諸島における火山活動に伴うローカルな地殻変動の検出 本研究では1995年以降に,三宅島,神津島,八丈島において島内にGPS観測網を設置し,繰り返し稠密GPS観測を実施し,プレート収束運動と関連する島内の局所変動を議論してきた.その結果,以下のような成果が得られた.以下の成果は火山活動とも関連し,今後の更なる研究が必要と考える. 1) 神津島では島周辺の群発地震と対応し,年間3cmに及ぶ島内変形が検出された.式根島・新島における水平変動も考慮に入れると,神津島北島沖,式根島・新島間と二つの圧力源が推定される.圧力源の位置と深さも含め,ちょうど群発地震域に対応している. 2) 三宅島では圧力源が1983年噴火時と同く,島南西部に推定され,膨張の地殻変動が進行している.一方,島の北東部では島南西東部と比較し地殻変動量は少ない. 3) 八丈島では地熱周辺域を除けば顕著な島内の地殻変動が観測されていない.
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