研究課題/領域番号 |
08454123
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤森 邦夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (00025470)
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研究分担者 |
大塚 成昭 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (00122242)
東 敏博 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90135517)
竹本 修三 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40027256)
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キーワード | 地殻変動 / 余効変動 / 活断層 / 兵庫県南部地震 / 地下水 / 震源域 / 歪 / 水準測量 |
研究概要 |
兵庫県南部地震(M=7.2)の震源域に設置されている地殻変動の観測点(六甲高雄、六甲再度、六甲石楠花、および六甲鶴甲)の観測が継続実施されてきた。この内、六甲高雄は万福寺断層が、六甲鶴甲は大月断層が観測坑道と交差している。 六甲高雄では、観測坑道の側溝を流れる湧水の量変化の測定が行なわれている。各観測点での地殻変動観測ならびに湧水量観測は継続されてきた。六甲高雄と六甲摩耶における水準測量は、例年通り3月に実施された。また、六甲活断層帯と一連のものと考えられる兵庫県南部地震の地震断層である野島断層に掘削された800m孔からの湧水量の測定を、一昨年12月から開始した。しかし、800m孔からの湧水には、ヘドロが含まれており、それが連続観測の支障となり度々観測データの不良となった。そこで、湧水のフィルターに改良を重ね、良好な記録が得られるようになった。 本年度の解析で得られた重要なことは、余効変動の原因について新しい仮説が得られたことである。余効変動とは、地震時にステップ的な地殻変動が生じた後観測される時定数の比較的長い変動をいう。このような変動が生じる原因として、震源断層付近で進行するゆっくりとしたすべりや地震時変動に対する地殻の粘弾性応答などが考えられてきた。本研究では、それらの原因とは別に、地震による間隙水圧の変化が地下水の移動によって解消されることに伴って余効変動が生じると考えた。すなわち、間隙水圧は、地震時に、コサイスミックな歪変化に対応して変化が生じ、縮みの領域で増加、伸びの領域で減少する。生じた間隙水圧の不均一な空間分布は、高水圧地域から低水圧地域(地表も含む)への地下水の移動により解消される。このような間隙水圧の変化が余効変動を生じさせる。従って、透水係数が分かれば、地震による歪の分布から、余効変動の時空間分布は推定できるであろう。
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