研究概要 |
本研究では,過去数千年間における水文環境の変動やそれが関わる侵食環境の変動と崩壊・土石流等に見られる地表の物理的応答,いわば地形システムを,グローバルな気候変動に決定的な役割を果たしてきている可能性のあるチベット高原東縁のいわば風下側に相当する中国四川省,雲南省およびアジアモンスーン域の北縁部に位置するシベリア・バイカル湖の湖沼堆積物試料とその流域の資料を基礎にして,明らかにすることを試みる.そして同時にわが国における湖沼堆積物試料や地形資料等から推定する地形システムとの比較検討を行い,アジアモンスーン域いおける水文過程からみた地球環境変動とそれに対する地表の物理的応答,地形システムの一般的なモデルの構築を試みる. 平成9年度 1.湖沼堆積物の採取・分析;日本海側地域(余呉湖,北潟湖)の湖沼で底泥堆積物の採取を行い,粒度分析等の物理分析および化学分析・年代測定等を行った。余呉湖においては過去4,000年間の水文環境の推定を行った.また,バイカル湖で採取された堆積物についても同様に各種の分析を行った.中国四川省・雲南省の境界にある瀘沾湖で底泥堆積物の採取も行い,物理量の分析を行った. 2.崩壊土石流多発地区であるバイカル湖南岸流域で採取された樹木の年輪解析を行った. 3.中国四川省・雲南省の境界にある瀘沾湖の流域,バイカル湖南岸流域および日本海側地域の試料採取域の地形特性や地表環境の特性について衛星写真情報に関する解析を行った.
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