研究課題/領域番号 |
08454132
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
由佐 悠紀 京都大学, 理学部, 教授 (90025403)
|
研究分担者 |
大沢 信二 京都大学, 理学部, 助手 (30243009)
福田 洋一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30133854)
竹村 恵二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00201608)
田中 良和 京都大学, 理学部, 助教授 (00025420)
北岡 豪一 京都大学, 理学部, 助教授 (30093230)
|
キーワード | 盆状地下構造 / 地熱系の年齢 / 塩素収支 / 地熱流体の循環 / 火山放出ガス量の測定 / 火山・地熱ガス / 窒素の由来 / 赤色沈澱物 |
研究概要 |
本研究は、火山・地熱・温泉活動の活発な九州中部地域の地熱構造や発達過程などについて、できるだけ具体的な描象を構築することを目的としている。これまでに、以下のような成果が得られた。 1.九州中部地域に発達する盆状地下構造の形成機構に関して、別府湾一帯を対象としたシミュレーションが行なわれ、2本の断層の右横ずれ運動によることが明らかになった。 2.地球科学・水文学的な資料より、別府地熱系の年齢が約5万年と求められた。この5万年間に同地熱系から放出された塩素の90%以上は深部から供給されたものと推定され、その供給機構の解明が新たな課題である。 3.九重火山から流出する地熱流体の安定同位体比およびトリチウム濃度が測定・解析され、地熱流体の深部循環モデルが構築された。 4.降水を利用した活火山からの塩化水素・マグマ性水蒸気放出量の推定法が開発され、九重硫黄山に適用された。同火山からの塩化水素放出量は3.7〜8.7ton/day、マグマ性水蒸気量は360〜1400ton/dayと見積もられた。 5.別府地熱地域の血の池地獄の赤色沈殿物の黄色化の原因は鉄明礬石の出現であることが明らかにされ、地下熱水流動系の変化との関連が示唆された。 6.地下深部からの物質供給と関連して、火山ガス・地熱ガスに含まれる貴ガスの系統的な調査が遂行され、九州中部地域の貴ガスは、東北日本や南九州のものに比べて窒素に乏しいことが知られた。この特徴と地質構造とを比較検討した結果、「マグマ性ガス中の窒素は、先第三紀基盤岩中の窒素化合物に由来する」という新たな解釈が得られた。これを確かめるため、今後さらに調査・研究を続ける予定である。
|