研究課題/領域番号 |
08454133
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
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研究分担者 |
斉藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助手 (10225716)
奥西 一夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (30027239)
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キーワード | 火山 / 焼岳 / 雲仙 / 噴火 / 降雨流出 / 侵食速度 / 流砂 / 土石流 |
研究概要 |
火山体斜面の侵食速度が噴火に伴って著しく上昇したのち、噴火活動の終息後、時間の経過とともに減少してゆく過程のメカニズムを解明し、その変化を定量的に予測するモデルの構築をめざし、焼岳東斜面と雲仙普賢岳東斜面において、降雨流出、流砂、土石流の観測と、斜面微地形の測量および浸透能試験などを実施し、それぞれの流域の水文特性と地形プロセスの相互作用を検討するとともに、流域の侵食速度の解析を進めた。 焼岳の源流域斜面において行った観測から次の3つの新たな知見を得た。(1)実測した降雨流出の特性を再現するため、表面流に加えて、浅い側方浸透流を考慮した物理的な降雨流出モデルを構築したが、著しく速い浸透流を実際に出現させるメカニズムの解明が課題である。(2)斜面の平均的な流出率は、この18年間でおよそ0.2から0.07へ、すなわち3分の1程度に減少した。この変化は、斜面の微地形、表土層の構造および植生状態に支配されていると考えられるが、そのメカニズムの解明に着手した。(3)流域の侵食速度が現在10^0mm/年オーダという小さな値であること、また、近年の土石流発生頻度と規模の減少の要因が、上述の流出率の減少と深く係わっている。 噴火活動が終息して1年あまりを経た普賢岳で行った観測からは、次の3つの新たな知見を得た。(1)流出率が18年前の焼岳と同程度すなわち0.2程度の大きな値を示す。1995年以前にはさらに大きな値であったものと推定できる。(2)降雨流出に伴うリルでの流送土砂の量が著しく大きく、比流送土砂量は焼岳のそれより2桁も大きい。(3)雲仙の渓流における土石流による比流速土砂量では、現在焼岳のそれより1〜2桁大きい。流出率以外の要因も考慮してこのような水分地形プロセスの違いを生じるメカニズムの検討を進めている。
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