研究課題/領域番号 |
08454133
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
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研究分担者 |
斉藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助手 (10225716)
奥西 一夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (30027239)
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キーワード | 火山 / 噴火 / 火砕流 / 土石流 / 降雨流出 / 浸透能 / 人工降雨 / 浸食速度 |
研究概要 |
噴火によって火山斜面の侵食速度が急上昇するが、噴火活動が終わると、時間の経過とともに侵食速度が減少してゆく過程のメカニズムを解明し、その変化を定量的に予測することをめざし、焼岳、雲仙普賢岳、米国ワシントン州のセントへレンズ山において、降雨流出、流砂、土石流の観測、斜面微地形の測量あるいは各種浸透能試験を実施し、それぞれの流域の水文特性と地形プロセスの相互作用、侵食速度の解析を進めた。 雲仙普賢岳の火砕流堆積物を用いて人工降雨実験を行った結果、いかなる条件でも雨滴衝撃によって土壌クラストが形成されて浸透能が著しく低下することを明らかにした。また、噴火終了後、はじめは完全な裸地であった斜面で植生が回復してくると、降雨時の地表面における雨滴衝撃が緩和して、クラストが形成されにくくなり、斜面の浸透能がそれまでのように低下しなくなること、そして、これによって斜面の本文特性が噴火前の状態へ徐々に回復しゆくことを明らかにした。 室内と、雲仙普賢岳の現地において人工降雨実験を行って、植生の回復がメカニカルに、また土砂水理学的なメカニズムの効果で、斜面の侵食を顕著に抑制することを明らかにした。1980年に山体崩壊と同時に水蒸気爆発のあったセントへレンズ山のブラストと呼ぶべき火砕流堆積斜面で、同様の人工降雨実験を行った。その結果、浸透能が着実に増大してきていることが明らかになった。すなわち、植生の回復が、そのメカニズムの鍵を握ることを明らかにしたことになる。 噴火終了直後の斜面の水文・土砂流出の急激な変化と、その後さらに十数年にわたって続くやや緩慢な変化を区別すると、上述の植生回復に伴う変化は主として後者に対応する。室内における人工降雨実験では、急激な変化の時期に進行したであろう現象を詳細にわたって明らかにすることができた。
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