研究概要 |
未固結堆積物の変形の特徴として,含まれる固体粒子の表面や本体にまで及ばず,粒子間間隙を歪ませている.そのため,変形と間隙水の排水とは表裏一体であり,粒子間の枠組みの変化や間隙径分布の変化という形で現れる.本研究における作業仮説は,未固結堆積物の変形の際,間隙水からの脱水によって有効応力が減少し,それによって堆積物強度の減少によって堆積物部変形するのか,それともフレームワークである固体粒子が歪むことで含まれる間隙が押し潰され、結果として排水が生じるという二つの仮説のどちらが未固結変形を説明するのかを明らかにしたいと考え始められた.本研究では,フレームワークである粒子の歪みについては帯磁率異方性測定装置Kappa Bridgeを使用することで,また,間隙径の変化については水銀圧入式ポロシメータによって検討がなされた.また,補助的に堆積物のかさ密度の変化を高精度で知るためにX線CTスキャナーが用いられた.検討した試料については,三浦層群三崎層(工学的には軟岩に含まれる)と沖縄本島四万十帯名護層,さらに,現世の湾底堆積物として長崎県大村湾底より得られた10mピストンコア試料が当てられた.三崎層については,offscrapeした堆積物で,その変形はプレートの沈み込みに伴う側方圧縮,名護層は上載荷重に伴う圧密と異常間隙水圧帯下での圧縮剪断,大村湾の試料は最も単純な非変形圧密の影響を読みとることができる. この内の幾つかは現在も継続して検討が進んでいるが,埋没深度が1km以下と比較的浅い層準下,強い未固結変形を起こしている三崎層の例をみると,未固結変形に伴い生じた変形脱水プロセスは,やはり,固体粒子間の変形が主たる原因で,含まれる間隙径の減少は変形に伴い生じた産物と考える方が良いように思える.
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