研究分担者 |
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
坂本 竜彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90271709)
鈴木 徳行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00144692)
岡田 尚武 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111334)
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研究概要 |
1.東地中海のODPコア2本(キプロス島南のエラトステネス海山北部斜面から採取した967D, 6.5mとクレタ島南のレバント海盆とイオニア海盆を分断しているリッジ上の969F,9.3m)中の有孔虫殻の酸素・炭素同位体比に基づく古環境解析を行い,次の3点を明らかにした。(1)東地中海における浮遊性有孔虫殻のδ^<18>Oが希釈されて軽くなった。間氷期の暖かい時期に賢所で河川水の影響が強く現れている。(2) 967Dコア中の浮遊性有孔虫殻のδ^<18>Oは969Fコア中のそれより全体的に軽い値を示し,地中海南東部の表層水のδ^<18>Oは東へ行くほど軽くなっている。之は北大西洋シシリ-海峡を通じて流入してくる表層水は東流する過程で蒸発するため塩分が大きくなり,海水のδ^<18>Oは重くなるが,ナイル川河口付近では河川水の影響で河口から遠ざかるほど,つまり西に行くほど海水のδ^<18>Oは重くなることを示唆している。(3)西側と黒海からの表層水中の栄養塩がナイル川からの淡水中のそれより多かったために969Fコアの生物生産性は967Dコアのそれより高かったと考えられる。 2. ODPコア969FのC/N比,有機態炭素・窒素同位体比の分析結果から次の3点が明らかになった。(1)サプロペルは酸化したサプロペルや軟泥に比べて陸上起源有機物を多く含んでいる。(2)陸上起源有機物を運んでくる淡水は,同時に大量の栄養塩を東地中海に供給し活性化した生物生産によって海洋起源有機物が増加した。(3)サプロペルは,陸上起源有機物と海洋起源有機物の両者が共に増加し,とくに陸上起源有機物が急増した結果,形成されたと考えられる。
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