研究課題/領域番号 |
08454152
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田賀井 篤平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40011738)
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研究分担者 |
中嶋 悟 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80237255)
村上 隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00253295)
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キーワード | 斜長石 / 太古代 / 変質作用 / 風化作用 / 微細組織 |
研究概要 |
地球地殻はその形成当時から現在に至るまで,常に風化・変質作用を受けている。このような風化・変質作用は、太陽系における地球地殻の物質進化を特徴付けている現象である。しかしながら、形成当時からの情報は、その後の活発な火成活動や大洋・太気等による浸食・堆積・変成作用により失われつつある。その状況下にあって、カナダ楯状地に存在する斜長岩複合岩体の中で25〜30億年の年代を示す太古代斜長岩には形成直後の風化・変質作用の痕跡を認めることができる。この点に注目して太古代斜長岩の風化・変質作用から当時の古環境を推定した。斜長岩の主要構成鉱物である斜長石・輝石の風化・変質作用の研究を通じて地球地殻初期の古環境の解明することである。本研究では、天然に得られた試料の単結晶を用いた変質・風化実験を行い、初期地球地殻の風化・変質作用を推定した。まず、斜長石の巨晶を定方位に切断し、各結晶面が卓越するように平板状の試料を作成した。平板状結晶の両面に鏡面加工を施し、その後、有機酸で緩衝溶液を使用して処理した。この平板結晶を用いて酸による溶脱実験を行った。実験条件(温度、酸の濃度、実験時間)を変化させ、溶脱してくるイオンの量を測定し、溶解速度の結晶方位依存性を求めた。また、反応後の斜長石の表面を観察し、結晶表面で起こった現象を解明した。表面のエッチピットの測定から、結晶中の劈開・双晶などの微細組織が溶解速度に大きな影響を持ち、その微細組織の影響を補正すると、結晶構造の異方性が溶解速度の異方性に対応することが解った。長石で得られた結論を基に同様な手法で主要造岩鉱物であるカンラン石、輝石について変質実験を打い、結晶構造と風化・変質過程の関連について総合的な検討を行う。
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