研究概要 |
生物関与の鉄鉱石の問題で,群馬鉄山についての室内実験のツメを行った.この結果,鉄鉱石のなかに,バクテリア,藻類,苔類の化石がさらに確認され,それら生物が鉄質沈澱形成へ寄与していることが,それぞれについて具体的に明らかにされた.さらにそこで形成される鉄鉱物と関連鉱物(ジョアロサイト,ストレンジャイト,シュワルツマナイト)等についてもその組織・構造・結晶度等についてくわしく電顕鉱物学的に記載された.また現在形成されつつあるところで,湧水と流水の化学的性質を調べ,現在の生物相(バクテリア,藻類,苔類)がどう具体的に鉄質沈澱を集積しているかを刻明に記載した.以上現在過程のデータをもとに,過去のプロセスとしても類似の現象が起こっていることを推定した.これらの結果を論文としてまとめ,アメリカ鉱物学会誌に投稿し,掲載された(1999年,1月号).さらに,北海道の錦沼の鉄鉱床,長野県諏訪鉱床についても検討し,類似の結果をえて,その一般性を確立しつつある.さらに,中国宣龍地域の鉄質ストロマトライトについてもSEM観察で基礎的組織を記載した.この試料では,疎密の縞状のリズムが特徴で,DAI(1998)のいう鉄バクテリア類似構造体が疎な部分にとくにみられることがわかってきつつある.これらの結果は学会で発表の予定である.
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