研究課題
本年度は中国・山東半島と西アルプス・ドラマイラ岩体で採集した地殻最深部物質である超高圧変成岩と四国中央部三波川変成帯産の広域変成岩とテクトニック・ブロックの精密な岩石鉱物組織解析を実施した。機器の改良の面では、昨年度購入した走査型電子顕微鏡用超高精細画像処理装置を研究室の汎用DOS-V機とLANで結び、データ解析作業の利便性をはかることができた。天然の岩石の解析結果の主要な成果は以下の通りである。1)三波川変成岩中のざくろ石の組織と組成の関係を精密に解析し、多くのざくろ石の核部では相当量のAlがFe3+に置換されている現象を見出し、その理由について考察した(Shirahata,Xu and Hirajima;1998.Mineralogy and Petrology、印刷中)。2)中国山東半島東北部の超高圧変成岩の組織解析から、この地域の岩石が広域的にグラニュライト相の重複変成を受けていることを見出した(中村大輔と共著で第5回国際エクロジャイト会議で講演)。3)西アルプス・ドラマイラ岩体のざくろ石の組織解析を行い、ざくろ石の形成は多様な反応を経ていることが判った。特に泥質変成岩の研究では、ざくろ石の組織解析からざくろ石の形成時期を識別する判断基準を提案した(松本尚子・R.Compagnoniと共著で第5回国際エクロジャイト会議で講演)。
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