研究概要 |
ネファリン(Ne:NaAlSiO_4)-鉄ネフェリン(FeNe:NaFe^<3+>SiO_4)系およびNe-エジリン(Ae:NeFe^<3+>Si_2O6)系のネフェリンを常圧および高圧で合成した。Ne_<90>FeNe_<10>,Ne_<85>FeNe_<15>,Ne_<80>FeNe_<20>,Ne_<90>Ae_<10>,Ne_<85>Ae_<15>(mol%)の組成のネフェリンを合成し,EPMAによってその化学組成を分析したところ,ほぼ目的のネフェリンが得られたことを確認した。この試料のX線粉末回折パターンを測定したところ,Henderson and Roux(1977)によるType-A,Type-B,Type-C,Type-Hの4種類のパターンが得られた。Type-A,Type-B,Type-Cのものの格子定数は,完全な六方晶系のネフェリンの値から大きくはずれる。また,FeNe成分が多くなると六方晶系のType-Hのものが得られることがわかった。Onuma et al.(1972)は,本系におけるネフェリンの合成,格子定数の決定を行った。本研究における格子定数はOnuma et al.(1972)の結果と異なり,再度系統的かつ精密な研究が必要である。本ネフェリン試料のメスバウアースペクトルを測定したところ,四極分裂の値が異なる2対のダブレットが観察された。メスバウアースペクトルの解析結果から,Fe^<3+>が2つの4配位席を占有していることがわかった。Fe^<3+>の四極分裂が配位席の変形度に相関していること,また,これまで報告されているネフェリンの結晶構造解析の結果を踏まえると,Fe^<3+>はT1,T2,T3,T4の4つの4配位席のうち,T2およびT4席を占有していると考えられる。しかし、X線粉末回折によって判明した六方晶系からの構造の変化を考慮すると,局所的変形度の違いによって2つのダブレットが得られていることも考えられ,次年度の研究課題の一つである。
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