研究課題/領域番号 |
08454159
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小藤 吉郎 徳島大学, 総合科学部, 教授 (40029872)
|
研究分担者 |
沼子 千弥 徳島大学, 総合科学部, 助手 (80284280)
石田 啓祐 徳島大学, 総合科学部, 教授 (20116776)
|
キーワード | 放散虫殻 / 地殻環境履歴 / アルファ石英 / 非晶質シリカ / 微化石 / X線回折プロフィル / 四国三波川 / ジュラ紀 |
研究概要 |
本研究は、平成8年〜平成10年度の3年間にわたり、各種母岩に含まれる微化石、特に、化石放散虫殻に残された原子レベルの地殻環境履歴を、鉱物学的、結晶学的手法により解明することを目的として行った。放散虫殻は比較的低変成度の地層を対象として、母岩の変成過程でアモルファスシリカの放散虫殼がアルファ石英に結晶化する過程を、走査型電子顕微鏡およびX線回折法により明らかにした。 化石放散虫殻の試料は、年代が同じで種々の異なる母岩から採集した。採集母岩は、四国三波川帯のジュラ紀の泥岩、粘板岩、チャートの変成度の異なる母岩である。標準試料は、未固結海底堆積物中の放散虫殻を用いた。単離した試料のX線回折振動写真は、微小な石英粒子の多結晶体であることを示した。粉末回折図形の最強線のプロフィルの回折幅をミクロデンシトメータで測定した結果、未固結の試料は回折線が観測されず、アモルファスである。泥岩、チャート、粘板岩中の試料は、この順に回折線の幅がシャープになり、母岩の続成と結晶化度が対応づけられることが明らかになった。 また、母岩の熱履歴の指標としての化石放散虫殻の有効性を、低変成も含む続成過程の進行した地質体において、明らかにすることを目的として、四国東部の御荷鉾帯ならびに秩父北帯に分布する堆積岩類に含まれる放散虫殼の試料について結晶化度を比較した。実験は分析走査型電子顕微鏡を用いて、アルファ石英の結晶粒子の大きさから結晶化度を見積もった。その結果、母岩の続成が進むに従い、アルファ石英の結晶粒子が大きくなり、最も続成が進んでいる旭鉱山南の赤色チャート中のものは、結晶粒子は大きなもので、約15ミクロン、続成が低い湯谷のタフ中のものは、約2〜3ミクロンで、結晶粒子の大きさから母岩の続成の程度を見積もることができることを明らかにした。
|