研究概要 |
微少領域の微量な軽元素(H,C,N)の定量及びその同位体比を二次イオン質量分析計で測定できる様にするのがこの研究の目的であった.以下に述べるようにこの目的はほぼ達成されている. 1)窒素の測定 金属鉄中の窒素の測定(定量及び同位体比)ができるようになった.窒素はコンタミネーションの影響が大きいので検出限界は100ppm程度である.同位体比は数百ppmの窒素がある時に10分程度の測定時間で5パ-ミル程度の誤差が測定ができる. 2)炭素の測定 金属鉄中の炭素の測定ができるようになった.検出限界は数十ppm程度である.この程度の濃度で,10分程度の測定で同位体比の測定精度は5パ-ミル程度である.また2次イオン質量分析計で測定した炭素の同位体比は,instrumental fractionationのために鉱物ごとにかなり異なることが解った. 3)水素の測定 水素の検出限界はまだ確かめられていないが,バイオタイト(水素濃度0.5wt%程度)等では十分なシグナルが得られている.同位体比の測定精度は現在5%程度であり,これは測定条件が十分にコントロールできていないためにinstrumental fractionationが変化しているせいと考えている. これらの基礎的な研究の成果に基づいて鉄隕石やコンドライトの軽元素の研究が進められている.
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