一酸化二窒素とメタンの地球化学的循環の好感度同位体測定による解析

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08454164
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 吉田 尚弘 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (60174942)
• 研究分担者: 中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880) ; 吉岡 崇仁 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (50202396) ; 濱 健夫 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (30156385)
• キーワード: 一酸化二窒素 / メタン / 窒素同位体比 / 酸素同位体比 / 水素同位体比 / 炭素同位体比 / 海洋 / 湖沼

研究概要

本年度は一酸化二窒素(N_2O)の窒素・酸素同位体比と、メタンの水素・炭素同位体比の高感度同位体測定を可能にし、測定の範囲を大幅に広げるとともに、海洋、陸域でそれらの起源となっている有機、無機態試料についても測定を行うことで、循環の解析を総合的に進めることを目指し、研究を行った。
(1)次の3段階のN_2Oとメタンの同位体比測定法について相互校正を行った。
A)大気あるいは環境水などの低濃度の試料を大量に採取し、同位体比を質量分析計(IRMS)による測定。
B)現有のGC/C/IRMSによる測定。
C)CH_4/N_2O微量ガス濃縮前処理装置(Per Con;以下PC)を加え、PC/GC/C/IRMSによる測定。
ここで、PCの設置に当たっては、そのままの形で組み込むのではなく、本研究で必要とされる精度と感度に高めるべく、改良を進めている。
(2)海洋試料、陸域試料それぞれについて、上記のA),B),C)のうち、特にB)とC)のそれぞれのシステムに適した試料を選択し、試料採取法と前処理および試料導入法について検討し一部、試料採取を始めた。
(3)新設した半導体レーザー赤外分光計により大気濃度の測定を行い、現有のGCによる測定と相互校正を始めた。

研究成果

• [文献書誌] Wada,E.,et al.: "The abundance of N in N_2O in a aquatic ecosystems with emphasis on denitrification" Mitt.Internat.Verein.Limnol.25. 115-123 (1996)
• [文献書誌] 吉田尚弘: "大気成分の観測-大気成分変動の研究と航空機観測への期待-" 天気. (印刷中). (1997)
• [文献書誌] Yoshida,N.: "Coupling of water and material cycles." Proc.Int'l Forum for Multi-disciplinary Researchers on Science and Technology for the Global Environment-Environmental Measurement and Analysis-. (in press). (1997)
• [文献書誌] 濱 健夫・濱 順子: "植物プランクトンの生産物組成" 月刊海洋. 号外No.10. 87-92 (1996)
• [文献書誌] 濱 健夫: "海洋表層における有機物生産過程の質的側面" 月刊海洋. 号外No.11. 43-48 (1996)
• [文献書誌] T.Hama,et al.: "Spatial variability of the primary productivity in the East China Sea and its adjacent area." Journal of Oceanography. 53/1. 41-51 (1997)
• [文献書誌] T.Hama: "Primary productivity and photosynthetic produats in the Northwest Pacific Ocean." Proceedings of the International arine Science Symposium on Biogeochemical Processes in the North Pacific. 187-191 (1997)
• [文献書誌] K.H.Shin,et al.: "Primary production processes studied with photosynthetic products." Proceedings of the International Marine Science Symposium on Biogeochemical Processes in the North Pacific. 192-196 (1997)
• [文献書誌] J.Hamanaka,et al.: "Organic chemical aspects of the relationship between primary and export production in the euphotic zone." Proceedings of the International Marine Science Symposium on Biogeochemical Processes in the North Pacific. 205-210 (1997)
• [文献書誌] E.Wada,et al.: "Isotope biogeochemistry of several aquatic ecosystems." Geochemistry International. 33. 129-149 (1996)
• [文献書誌] 吉岡崇仁: "陸水環境における地球環境変動の記録-地域的強制・物質循環による変質-" 陸水学雑誌(Jpn.J.Limmol.). 57. 62-64 (1996)
• [文献書誌] 吉岡崇仁 他: "同位体・溶存成分の動態から見た熱帯湿地の物質循環" 陸水学雑誌(Jpn.J.Limmol.). 57. 85-87 (1996)
• [文献書誌] 吉田尚弘: "新版地学事典(平均滞留時間,分子拡散,エンタルピー,ポテンシャルエネルギーなど20項目)" 平凡社, 1443 (1996)
• [文献書誌] T.Hama: "Biogeochemistry of Marine Organic Matter(Eds.N.Handa,E.Tanoue and T.Hama)" Terra Scientific Publishing Company, in press (1997)