研究課題/領域番号 |
08454176
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩澤 康弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40018015)
|
研究分担者 |
福井 賢一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60262143)
大西 洋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (20213803)
朝倉 清高 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60175164)
|
キーワード | エックス線光電子顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 反射赤外吸収分光法 / 表面反応 / 固体表層 / 触媒 / その場観察 / 可視化 |
研究概要 |
固体表面の化学反応は、基礎的・応用的な観点から今日もっとも注目されている化学現象の一つである。本研究の目的は、新しい原理に基づくX線光電子顕微鏡(XPEEM)を開発して反応中の表面をその場観察し、表面上の化学種の動きをリアルタイムに追跡することである。 そのための手段として、既存の低速電子顕微鏡(LEEM)を基本にして、新しいXPEEM装置を設計・製作した。LEEM装置の顕微鏡部に電子エネルギー弁別器(ウィーンフィルター)を付加することによって、X線励起による光電子をエネルギー弁別したうえで空間分布を高分解能で測定し、固体表面の元素別、あるいは化学状態別の分布図をリアルタイムに記録できるよう設計した。これまでに、エネルギー弁別器の取付とたち上げが完了し、現在、XPEEMシステムとしての最適化を行っている。その過程で、シリコン表面のX線励起による全光電子像(位置分解能〜1μm)と、金4f光電子のエネルギースペクトルの測定に成功している。 XPEEM装置の製作と平行して、二酸化チタン単結晶表面上に蒸着した金属原子・吸着分子の加熱・気相分子共存下における反応過程を走査トンネル顕微鏡(STM)を用いてリアルタイム観察した。また、タングステン層を埋め込んだシリコンウェファー上にSiO_2薄膜を作成し、さらに銅超微粒子をスピンコートすることによって担持金属触媒のモデル表面を作成した。埋め込まれたタングステン層によって吸着分子の赤外吸収が増強され、通常不可能な反射吸収測定によって吸着分子の振動状態を解析できることを実証した。これらの手法にXPEEMを組み合わせ相補的に用いることによって、これら表面の元素分布あるいは化学状態分布の動きを、反応中に可視化することをめざす。
|