「気-液界面構造研究のためのX線反射率測定装置」を製作した。反射率測定では、X線が試料に対してすれすれに入射する非常に低角の角度領域で、大幅な強度変化を正確にとらえる必要があり、装置として要求される性能は、(1)測角精度の高いゴニオメータを備えていること、(2)入射X線の平行性と単色性が良いこと、(3)入射X線ビームは幅が狭く、高強度であること(4)X線検出器は低バックグラウンドで高計数率対応型であることが挙げられる。我々が製作した試料水平型X線反射率測定装置は、大別すると、3つのパ-ツ(光源、試料周辺、検出部)で構成されている。主な特色は、(1)ゴニオメータに5相ステッピングモータによる自動ステージを採用し、(2)Ge(111)結晶を(3)非対称カットしたものをモノクロメータ用いている。さらに画期的なことは、(4)検出器に2次元ディテクターであるイメージングプレートを用いることで、X線源に2.2KW封入管を用いているにもかかわらず、従来にない高精度な測定が簡単なアラインメントで実現可能になった。また、この装置を気-液界面に応用するにあたり、液面の振動および蒸発による位置変化が問題となったが、試料を自動ステージに載せ、高さを蒸発速度に合わせて上げることで解決した。さらに、同条件下で表面張力を測定できるように、輪環法による自動表面張力測定装置を製作し、反射率測定装置に組み込んだ。 このX線反射率測定装置の性能評価にあたり、水のX線反射測定を行ったところ十分精度の高い測定結果を得ることができた。また、数種のアルカノールについて測定を行い、分子の形と気-液界面層の厚さの関係について研究した。さらに、2-ブトキシエタノール水溶液の表面張力測定を行い、表面付近での溶質の過剰量と溶液内部における混合状態の相関について議論した。
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