研究課題/領域番号 |
08454191
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
伊藤 紘一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40008503)
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研究分担者 |
山本 雅人 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50277844)
高橋 博彰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063622)
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キーワード | 高感度振動分光法 / 水表面単分子膜 / 構造 / 反応 |
研究概要 |
本年度の実績を以下にまとめる。 (1)FT-IR分光器、外部反射測定装置、小型表面圧測定装置を設置したLangmuir単分子(LM)膜作成用トラフを組み合わせて水表面単分子膜赤外スペクトル測定装置を製作した。 (2)透過型回折格子とノッチ・フィルターで構成された分光器(f/1.8)に液体窒素冷却CCD検出器を設置し、半導体励起Nd-YAGレーザを光源とする高感度ラマン分光器を製作した。 (3)(1)で製作した装置のテストをかねて、アラキジン酸(A)の(Cd^<2+>、Pb^<2+>、Ba^<2+>)塩のLM膜の赤外外部反射(EIR)スペクトルを表面圧およびトラフ温度(6〜22℃)を変化させつつ測定解析した。特にC=0逆対称伸縮振動バンドがCd^<2+>塩ではが表面圧によらず1523cm^<-1>に観測されるのに対し、Pb^<2+>塩では表面圧の減少に伴って1512→1496cm^<-1>、Ba^<2+>塩では1540→1535cm^<-1>の波数変化を示すことを見いだし、各LM膜について金属イオンとの相互作用様式や分子配向の変化を明らかにした。 (4)ジアセチレン長鎖カルボン酸(DA)の(Cd^<2+>、Pb^<2+>、Ba^<2+>)塩のLM膜についても(3)と同様の測定を進めAの結果との比較検討を行った。 (5)特にDA-LM膜(Cd^<2+>塩)については紫外光照射にともなうスペクトル変化を観測し、水表面での光重合に伴うアルキル基の配向変化やカルボキシル基の配向および金属イオンとの相互作用様式の変化を明らかにした。 (6)(2)で製作した高感度ラマン分光器を用いてDA-LM膜(Cd^<2+>塩)については紫外光照射にともなうラマンスペクトル変化の測定を試み、ポリジアセチレン(PDA)によるC=CおよびC≡C伸縮振動バンドを1500と2100cm^<-1>付近に観測しそれらの強度が照射時間とともに増大することを確かめた。現在、各バンドの波数変化をもとに水面上での重合過程の解析を進めるとともに、生成したPDAの表面圧による構造変化の研究を行っている。
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