研究概要 |
我々は、既にフェネチルケトンオキシム誘導体に過レニウム酸テトラブチルアンモニウムとプロトン酸を作用させることにより、フェニル基が窒素原子上で分子内/置換したキノリン誘導体が得られることを明かにしている。オキシムの窒素原子上への求核反応はあまり例がなく、本反応は含窒素化合物の有用な合成法となることが期待される。そこで本反応をより実用的な反応に発展させるべく研究を行った。 その結果、m-ヒドロキシフェネチルケトンO-2,4-ジニトロフェニルオキシム誘導体に1,4-ジオキサン中水素化ナトリウムを作用させた後、2,3-ジクロロ-4,5-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)で酸化すると、8-ヒドロキシキノリン誘導体が良好な収率で得られることを見いだした。なお、このとき他の位置異性体は全く生成しない。また、DDQにかわりシアノ水素化ホウ素ナトリウムを作用させるとテトラヒドロキノリンが得られる。 さらに、脱離基を有するオキシムの窒素原子上に有機金属試薬が反応すれば、イミンが生成し、これを加水分解することによって第一級アミンが合成できると考えられる。様々なオキシムとアルキル金属試剤を用いて検討した結果,4,4'-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾフェノンO-メチルスルホニルオキシムにHMPA-エーテル中、触媒量のCuCN・2LiClとアルキルGrignard試薬を作用させ、生じるイミンを酸加水分解することによって,対応する第一級アミンを好収率で得ることができた。
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