研究課題/領域番号 |
08454200
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
早川 芳宏 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (50022702)
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研究分担者 |
村田 静昭 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助教授 (50157781)
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キーワード | 光学活性テトラゾール / 動的速度分割 / ヌクレオチドホスホロチオエ-ト / 酸 / 塩基複合活性化剤 / ホスホロアミダイト / アミダイト法 |
研究概要 |
今年度は光学活性リン酸関連化合物の合成代表例として、最近アンチセンス核酸として富みに注目を浴びているヌクレオチドホスホロチオエ-トを取り上げ、光学活性促進剤を用いるアミダイト法を基盤とした動的速度分割による立体選択的合成法の開発を目標に研究を行った。その結果、まず、光学活性促進剤として、十数種類の中心不斉、軸不斉および面不斉アルキル置換テトラゾールを合成した。さらに、光学活性促進剤を使用する場合の必須条件である促進剤の触媒化研究にも着手し、最近、モレキュラーシ-ブスをアミン補足剤として用いれば、目的を達しうることを見出した。 ついで、光学活性テトラゾールを触媒的あるいは化学量論的に用いるアミダイト法によるヌクレオシドホスホロチオエ-トの立体選択的合成を行ったところ、満足すべき高い選択性を得ることはできなかった。その理由を検討した結果、テトラゾールには反応部位(化学的に非等価な窒素原子)が2カ所存在するためであるという結論に達したため、反応点が1カ所になるようデザインした新しい促進剤、ベンズイミダゾール/トリフルオロメタンスルホン酸塩やピリジン/トリフルオロスルホン酸塩、あるいはベンズイミダゾール/三フッ素ホウ酸錯体など、一連の酸/塩基複合活性化剤を開発した。次年度以降は、不斉アルキル置換光学活性ベンズイミダゾールやピリジンをベースとした酸/塩基複合活性化剤を調製し、上記動的速度分割によるヌクレオチドホスホロチオエ-ト立体選択的合成を検討する予定である。 なお予備的実験によれば今回開発した酸/塩基複合活性化剤は1H-テトラゾールやp-ニチロフェニルテトラゾール(NPT)にくらべてアミダイトの活性化能力は数段高く、アミダイトやアルコールに対して化学量論の使用で十分に速い反応が進行する特徴をもつ。また、これらの試薬は安価な試薬から調製することができ、その値段は、三フッ素化ホウ酸錯体で1H-テトラゾールの1/50〜1/140、NPTの約1/60、トリフルオロメタンスルホン酸塩で1H-テトラゾールの1/10〜1/24、NPTの約1/10である。さらに三フッ化ホウ素錯体は反応溶媒であるアセトニトリルに対し高い溶解性(1H-テトラゾールの約10倍、NPTの40倍以上)を示し、既存の方法にくらべて少量の溶媒使用による合成を可能にするなど、望外の利点をもつことがわかった。
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