研究概要 |
本申請者はすでにキラルなシッフ塩基のチタン錯体を世界で始めて合成し、不斉シリルシアノ化反応およびジケテンのアルデヒド類への不斉付加反応の触媒に用いて、いずれの反応においても、触媒量20モル%使用で化学収率および不斉収率が90%を越える素晴しい結果を得た.さらに1、1′-ジベンゾイルフェロセン(1)および1,1′-ジアセチルフェロセン(2)を合成して、Corey法によるキラルなアミノアルコールのフェニルボラン酸エステルを触媒に用いる不斉還元によりそれぞれの光学活性ジオール(3および4)を光学純度95%以上で合成することができた.これらの生成物は再結晶することにより、光学純度99%以上にすることができた.また(1)および(2)と光学活性フェネチルアミンと縮合して、2種類の光学活性ジシッフ塩基(5および6)を合成した. これら光学活性ジオール(3)および(4)とチタニウムアルコキシドとの反応により新規な2種類のチタン錯体(7および8)を合成することができた.これらのチタン錯体を触媒に用いる反応はこれから重点的に研究を行うが、有機亜鉛のアルデヒドへの不斉不加反応の優れた触媒となることを見い出した.またシクロヘキセンオキシドと第1級アミンとの不斉反応の触媒にも有効であることを発見した.
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