| 研究概要 |
1.溶媒粘度の測定
2,4-dicyclohexy1-2-methylpentaneの高圧下での粘度を25-150℃,0.1-430MPaの条件下で測定し,外挿/内挿による反応条件下での溶媒粘度の計算を可能とした。
2.運動の内部自由度が小さい分子に関する測定の試み
N-[5-(dimethylamino)-1-indanylidene]-4-nitroanilineを合成しそのZ/E異性化反応速度の測定を試みたが、光によるE/Z異性化が進行せず、この測定は不可能であることが判明した。そこで、同様の特徴をもつ測定対象化合物として、N,N′-dimethylindigoを試みることとし、その合成を現在行っている。
3.正電荷を帯びた反応分子に関する測定
精密な測定に適した系を決定するため、4種の化合物、即ち3,3′-diethyloxacarbocyanine iodide(DOCI),3,3′-diethylthiacarbocyanine iodide,3,3′-diethylselenacarbocyanine iodide,3,3′-diethyloxadicarbocyanine iodide.において観察される炭素-炭素二重結合に関するZ/E異性化速度の溶媒粘度依存性を2-methy1-2,4-pentanediol(MPD)中で行った。その結果、DOCIが最も好ましい化合物であると判明した。
4.電荷消滅を伴う反応に関する測定
1,3-dihydro-1,3,3-trimethylspiro[2H-indole-2,3′-[3H]naphth[2,1-b][1、4]oxazineにおけるZ/E異性化速度の溶媒粘度依存性の測定をMPD中で行った。その結果、この化合物では比較的低粘度における弱い粘度依存性と、高粘度における強い粘度依存性が見られた。この実験事実について、理論的検討を分担者と共に行ったが、溶媒分子の動きには、反応分子の電荷消滅に対応するものと形態の変化に対応するものとがあり、前者が低粘度における弱い粘度依存性に関わり、後者がより高い粘度で見られる強い粘度依存性に対応していると結論された。
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