本研究目的は各種形状の新規ルテニウムやオスミウムポルフィリンオリゴマーの創製・特定、ならびにこれらのオリゴマーの構造、電子状態、反応性、特にポルフィリンサブユニット間の分子内相互作用の解明にある。 以下に本研究成果の要点を示す。 1.垂直型二量体、対面型二量体、環状四量体、環状ではあるが歪んだ構造を持ったオブリーク型四量体、対面型二量体の軸位にさらにポルフィリンを導入した三次元型四量体、五量体、環状型四量体の軸位にさらにポルフィリンを導入したデンドリマ-状八量体などの種々の新規ルテニウムポルフィリンオリゴマーやオスミウムポルフィリンオリゴマーの合成を行い、それらの特定を行った。 2.一つのポルフィリンを軸配位子としてもったルテニウムポルフィリン二量体の単結晶X線構造解析を行った。 3.赤外吸収スペクトル、電子スペクトルや電気化学的測定によって、これらのオリゴマーを構成しているポルフィリンサブユニット間には分子内相互作用が存在することを明らかにした。 4.一連のオスミウムポルフィリンオリゴマーの^1H NMRスペクトルの測定により、オリゴマーを構成している一つのポルフィリンサブユニットの内部プロトンに及ぼす、周りのポルフィリンサブユニットの環電流効果を明らかにした。
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