研究概要 |
La_2NiO_<4+δ>およびLa_2CuO_<4+δ>結晶は高温でともにK_2NiF_4構造を持ち,過剰酸素を持つ後者結晶の低温相で超伝導性が見いだされている。両結晶は酸素組成に不定比性を示し,過剰酸素の平均組成,配置構造,さらに配置変化速度は超伝導性にも関連して興味深く,本年度は両結晶系の熱容量測定,抵抗率測定,熱電能測定等を行った。 1. Ni系δ=0結晶において,従来から報告されている330Kの反強磁性相転移,80Kの構造相転移の他に150K付近に新たな相転移を観測した。80〜150KではNiO_6八面体の位置と傾きに不整合性があるものと解釈した。δ>0.06結晶において150〜300Kの広い温度範囲にわたる自発的エンタルピー緩和を観測した。これは酸素組成の相分離と分離途中での酸素配置変化の凍結に基づくものと解釈した。また,δ=0.14結晶において過剰酸素配置の長距離的な秩序が形成されることを示す一次構造相転移を観測した。この組成以上では酸素配置が三次元的な秩序構造を形成するものと解釈される。 2. Cu系0<δ<0.035結晶において320K以下に3つの構造相転移を見いだした。過剰酸素成の相分離はより高温で進行し,これらの構造相転移はCuO_6八面体の傾きに基づくものであり,相転移挙動に界面エネルギーが重要な役割を果たすことを指摘した。δ〜0.05結晶では150〜200Kの温度範囲でガラス転移に基づく自発的なエンタルピー緩和を観測した。その温度範囲は狭く,相分離過程とは異なるものと解釈した。
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