研究概要 |
金属蛋白質の多くのものがCys-X_2-Cys/M^<2+>型の構造中心を有する。本研究計画は、この事実をもとにペプチドモデルを追求して来た。本年度はBoc-Cys-Pno-Leu-Cys-OMe/Hg^<2+>に関するこれまでの研究成果の上に立ち、Boc-Cys-Pno-Leu-Cys-OMeとBoc-Cys-Pro-Leu-Cys-Gly-Ala-OMeの合成法を改良発展さて、大量に取扱えるようにした。これによって亜鉛錯体を始めとする各種金属錯体の合成が可能になった。その第一の成果として、金錯体の合成に取組み、予備的ではあるが、その合成が可能であることを確認した。Boc-Cys-Pno-Leu-Cys-OMeとBoc-Cys-Pno-Leu-Cys-Gly-Ala-OMeの金錯体はリューマチの治療薬である金錯体の細胞内における代謝過程、特に、プロテインキナーゼCへの金の配位を調べるモデル系になることが期待される。 一方、プロテアーゼの多くがHis-Glu-X_2-His/Zn^<2+>型の活性中心を有し、何れもほぼ同じ折れ曲がり構造を持つ。本研究はこの事実をもとに、Boc-Glu-Thr-Ile-His-OMe,H_21,とBoc-His-Glu-Thr-Ile-His-OMe,H_22,を合成し、これらペプチドの亜鉛錯体、[(H1)Zn]・ClO_4,3,及び〔(H2)Zn〕・ClO_4,4,の合成を目指した。今まで、〔(H1)_2Zn〕;5,の単離,精製に成功した。又、H_21及びH_22をはじめとする各種のペプチドと、これらペプチドと亜鉛イオン共存系のポテンショメトリーを行い、各プロトンの解離平衡の様子を検討し、加水分解酵素のメカニズムに関する考察を進めた。
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