研究概要 |
dmitの類縁化合物でしかもBEDT-TTFのちょうど半分の構造を有し、しかも電子供与体としての性質を有するC_5H_4S_5配位子(4,5-エチレンジチオ-1,3-ジチオレ-2-チオンを用いて金属錯体の合成に成功した。4つの錯体{[Ag(C_5H_4S_5)_3]ClO_4・CH_3CN}_2(1)、[Ag(C_5H_4S_5)_2NO_3](2)、[Ag(C_5H_4S_5)SO_3CF_3](3)、[Cu4I4(C_5H_4S_5)_4](4)のX線結晶構造を明らかにした。C_5H_4S_5の配位形式は4つのC_5H_4S_5の錯体が合成され、構造・性質を明にした。その結果C_5H_4S_5のチオカルボニル基だけが単座配位子として配位したタイプI、チオカルボニル基が橋かけ配位したタイプII、C_5H_4S_5のチオカルボニル基とチオエーテル基の両方で配位し、ポリマー構造を与えるタイプIII、チオカルボニル基のS原子で橋かけされ、さらにチオエーテル基のS原子で配位したタイプIVがあることを初めて明らかにした。 5員環および6員環S原子が直接金属イオンに配位した錯体としてこれまで1例が報告されているだけであったが、本論文ではC_5H_4S_5の6員環Sが配位した3つの錯体の構築に成功した。アルキルチオエーテルと比較して、6員環チオエーテル(-S-)のS原子はAgイオンに弱く配位すること、C_5H_4S_5錯体においてチオカルボニル(C=S)と6員環チオエーテルとAgとの結合距離はそれぞれ、2.45-2.60Åと(2.80-2.95Åであり、前者の方が短いという重要な結果を見い出した
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