研究概要 |
平成9年度は以下の研究実績を得ることができた。 1.カドミウムとモリブデンを含む硫黄架橋キュバン型クラスター錯体の合成に成功した。このクラスターがMo_3CdS_4骨格を持つことを元素分析およびCu^<2+>との反応生成物の解析から明らかにした。このクラスター錯体は水素イオンを還元して水素を発生する。 2.ジフェニルジチオレンおよび二硫黄を配位子とする新規タングステン複核錯体[W_2(μ-S_2)(μ-S_2C_2Ph_2)_2-(S_2C_2Ph_2)_2]の合成に成功し、X線構造解析を行い対応する既知モリブデン錯体との物性比較を行った。 3.硫黄・酸素架橋エチレンジアミン複核モリブデン錯体[Mo_2(μ-S)(μ-OH)(en)_4](S_2O_6)Cl・3H_2Oの合成およびX線構造解析に成功した。Mo(III)複核錯体でμ-Sとμ-OHをもつはじめての例である。 4.ニトリロ三酢酸を配位子とする硫黄架橋キュバン型タングステン-ニッケル混合金属クラスター錯体[W_3NiS_4Cl(Hnta)(nta)_2]^<5->の合成・X線構造解析に成功し、アセチレンおよびエチレンとの反応することを見いだした。 5.硫黄架橋不完全キュバン型タングステンクラスター錯体[W_3S_4(dtp)_4(CH_3CN)]とアセチレン誘導体との反応生成物の空気酸化より新規錯体[W_3(O)_2(μ-O)(μ_3-S)(μ-S)(μ-S_2C_2HCOOCH_3)(dtp)_3]を得、X線構造解析を行った。 6.イミノ二酢酸を配位子とする不完全キュバン型硫黄/酸素架橋クラスター錯体[Mo_3XS_3(ida)_3]^<2->(X=O,S)の異性体を単離し、X線構造解析すると共に、水溶液中で異性化が起こることを^1HNMRで確認した。 上記成果は平成9年9月岩手大学において開催された第47回錯体化学討論会において発表した:2YA01,2YA02,2YA03,PA54,2PA55,2PA56。
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