研究概要 |
この研究は3年度にわたって継続され、最終年度の研究成果として以下のように報告する。キラル錯体のセルフアセンブル法による電極界面への二次元不斉場の構築の研究について白金電極へのセルフアセンブルについてはJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,111-112(1997)に報告している。これは[Δ-Os(bpy)_2Lcl]^+(bpy≡2,2'-bipyridyl,L≡1,2-bis(4-pyridyl)-ethane)におけるLの2つのpyridylのうちのOsに結合していないpyridylの窒素原紙を白金電極と結合させてキラル1分子層で修飾させた二次元不斉場であり、新しい試みであった。ここで、リガンドの2,2'-bipyridylをphenanthrolineとした[Δ-Os(phen)_2LCl]^+(phen≡phenanthroline)の合成、光学分割を試みた。これはbipyridylをリガンドとするよりもphenantorolineをリガンドとした金属錯体のキラル体の方がラセミ化しないということが知られているから、光学分割などの過程や電極への修飾段階での考えられるラセミ化を避けようという目的である。目的とする[Δ-Os(phen)_2LCl]^+の合成と光学分割に成功し、キラル錯体とラセミ錯体による白金電極修飾の違いをポテンシャルサイクル法で評価することができた。この修飾電極では[Δ-Os(bpy)_2LCl]^+には見られなかった溶媒効果が観測された。これらの結果を基にして不斉反応の誘起を電極上で行ない、本研究の総括としたい。
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