研究概要 |
本年はλ-(BETS)2GaC14を中心にアニオンとしてClをF,Brに変えた一連の混合ハロゲン化ガリウム塩λ-(BETS)2GaC14-xYx(0<x<4;Y=F,Cl,Br)の結晶作成を行った。BETS塩の精製は草野科学器械製作所の液体クロマトカラムにより行い純度の高いBETSを合成した。帯磁率の測定には2mgの結晶が最低限必要であるため一つサンプルに数回程度の電気分解を行った。混合ハロゲン化ガリウム塩でアニオンサイズを小さくして行くと加圧した場合と同様な変化を一気圧下でほぼ再現できた。アニオンのサイズを大きくしたGaBr4の塩ではλ型を保てず、λ'型に変型することがわかった。このλ'型の物性は未だ不明であり次年度研究したい。0<x1では抵抗の極大が50-100Kにみられ,それ以下で抵抗は減少し4-8Kで超伝導が観測された。1<x<1.5では伝導度は半導体的であり,低温でnon-magneticとなった。即ち磁場を結晶の方向と変え,また大きさも変えて(1-7T)実験したところ変化が見られなかった。しかし1kbarというわずかな圧力で超伝導体となり超伝導転移温度は9.7Kであった。x>2になるとλ'型になると現在考えている。これまで10K級有機超伝導体は皆k-型超伝導体であったが,λ型も10K級有機超伝導体となることがわかった。又超伝導相の隣がk-型超伝導体に見られた反強磁性相と異なりnon-magnetic相であるということは,酸化物超伝導との関連からも極めて重要でありこれも次年度研究する予定である。
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