1997 年度実績報告書

安定有機ラジカルあるいはピリミジン遷移金属錯体を用いた分子性強磁性体の開発

研究課題

研究課題/領域番号	08454218
研究機関	電気通信大学
研究代表者	野上隆電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)
研究分担者	石田尚行電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (00232306) 曽和平電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (60293114)
キーワード	有機強磁性体 / 遷移金属錯体 / 磁気的性質 / 結晶構造解析 / 安定有機ラジカル / 強磁性的相互作用 / 弱い強磁性体 / 配位化合物
研究概要	1 TEMPO系有機ラジカル強磁性体従来、磁化率や磁化曲線からTEMPOラジカル誘導体のいくつかが、強磁性体になることを報告してきたが、この結論を確定的にするため、μ^+SRと比熱測定を行った。その結果、μ^+SRからはゼロ磁場での自発磁化の発生を確認し、比熱からはμ^+SRと一致する転移温度を確認した。また比熱ピークの高温部の解析から、我々が以前提案したβ水素メカニズムで予想される磁気的次元性が確認できた。重水素置換は磁気的性質に影響を及ぼさないことがわかった。 2 π共役有機NOラジカルの磁性分子間磁気的相互作用を強め、強磁性体転移温度を高めるために、一連のπ共役有機NOラジカル(アクリジン、フェナンスレン、ジフェニル誘導体)を合成し、磁気測定、結晶構造解析を行った。その結果、非共役系であるTEMPO系よりも、はるかに強い強磁性的相互作用を見い出すと共に、結晶構造解析の結果をもとに、共役系をとおした2種類の分子間強磁性的相互作用の原因を見つけた。長いアルキル鎖同士の分子間ファスナ-効果も分子間磁気的相互作用を強めることに有効であることを見つけた。 3 ピリミジン・遷移金属錯体の磁性各種遷移金属イオン・ピリミジン(PM)錯体を合成し、その磁性を検討した。その結果、配位形態と磁性が密接に関連していることがわかった。アキシャル/エカトリアル配位は遷移金属イオン同士に強磁性的相互作用を与えるが、エカトリアル/エカトリアル配位は反強磁性的相互作用を与えることを見い出した。PM_2CoX_2(X=Cl,Br)の結晶構造はキラルならせん構造であり、弱い強磁性を示した。Cu・TCNQ錯体でも弱強磁性的なふるまいをみつけた。

研究成果

(10件)

すべてその他

すべて文献書誌 (10件)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行, 山口兆ら: "Magnetic Interaction via β-Hydrogen Atoms in TEMPO Derivatives" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 141-150 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行, 山口兆, 武田定ら: "Solid State 'H-MAS-NMR and Spin Densities on Protous〜" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 307-314 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行: "Pyrimidme-Bridged Transition Metal Complexes as a〜" Recent Res.Develop.Pure & Appl.Chem.1-15 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Ferromagnetic Interaction in a Pyrimidine-Bridged〜" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 379-384 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Electrical Conductivities of MOTT Salts" Synth.Metals. 86. 2135-2136 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Ferromagnetism of Organic Radical Crystals of Deuterated〜" Synth.Metals. 85. 1743-1744 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Magnetic Properties of Pyimidine-Bridged〜" Synth.Metals. 85. 1655-1658 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行: "TEMPO-Based Organic Ferromagnets and Metamagnets" Mol.Cryst.Liq.Cryst.296. 305-322 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Ferromagnetic Dimer of π-Conjugated Organic Free〜" Chem.Lett.743-744 (1997)
[文献書誌] 野上隆, 石田尚行,(伊藤, 木下編): "Molecular Magnetism-New Magnetic Materials" Gordon and Breach,

1997 年度 実績報告書

安定有機ラジカルあるいはピリミジン遷移金属錯体を用いた分子性強磁性体の開発

研究代表者

野上 隆 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)

研究成果

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行, 山口兆ら: "Magnetic Interaction via β-Hydrogen Atoms in TEMPO Derivatives" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 141-150 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行, 山口兆, 武田定ら: "Solid State 'H-MAS-NMR and Spin Densities on Protous〜" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 307-314 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行: "Pyrimidme-Bridged Transition Metal Complexes as a〜" Recent Res.Develop.Pure & Appl.Chem.1-15 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Ferromagnetic Interaction in a Pyrimidine-Bridged〜" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 379-384 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Electrical Conductivities of MOTT Salts" Synth.Metals. 86. 2135-2136 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Ferromagnetism of Organic Radical Crystals of Deuterated〜" Synth.Metals. 85. 1743-1744 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Magnetic Properties of Pyimidine-Bridged〜" Synth.Metals. 85. 1655-1658 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行: "TEMPO-Based Organic Ferromagnets and Metamagnets" Mol.Cryst.Liq.Cryst.296. 305-322 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行ら: "Ferromagnetic Dimer of π-Conjugated Organic Free〜" Chem.Lett.743-744 (1997)

[文献書誌] 野上隆, 石田尚行,(伊藤, 木下編): "Molecular Magnetism-New Magnetic Materials" Gordon and Breach,

1997 年度実績報告書

野上隆電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)