研究概要 |
本研究では、交互積層型化合物(Ms)_X(TS_2)_n(M=希土類金属、T=Ti,V,Cr,Nb,Ta,n=1,2)および層状ボロカーバイドRB_2C_2、RB_2C(R:希土類金属)を合成してその基礎物性を明らかにし、さらに様々なサイズのチューブ構造を持つ結晶が形成されるかを検討した。またX線回折、電子線回折、中性子線回折などによりその層状結晶、チューブ状結晶の構造を明らかにした。主な成果として、 1 (MS)_X(TS_2)_n(M=希土類金属、T=Ti,V,Cr,Nb,Ta,n=1、2)において最小内径0.5μm、厚さ最大100μm、長さ最大10mmのマイクロチューブ状結晶を見いだした。 2 このマイクロチューブ状結晶は結晶の半径方向が積層方向であること、結晶成長方向が二つの副格子MS、TS_2の格子の整合方向に近いことが明らかになった。また、チューブは原子層が両端で接続されているのではなく、巻紙のように原子層が何層にも積み重なっていることが明らかになった。 3 マイクロチューブ結晶は二つの副格子の不整合方向の格子定数の比が簡単な整数比に極めて近いときに特に生成され、結晶を僅かに撓ませることにより互いに整合して安定化することがマイクロチューブ結晶の一つの成長メカニズムと考えられた。 4 マイクロチューブ結晶は格子不整合方向がらせんにを描くように成長し、そのらせん角は化合物に依存していることが明らかになった。 5 RB_2C_2系ではアーク放電により数百オングストロームのマイクロクラスターと多量のナノチューブの生成が確認された。 6 これらの化合物の層状結晶についての物性測定を行い、その結晶構造、磁気構造、電子構造を明らかにした。
|