研究課題/領域番号 |
08454220
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
三谷 忠興 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (50010939)
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研究分担者 |
安 正宣 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10249956)
北川 宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (90234244)
岩佐 義広 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (20184864)
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キーワード | プロトン / 水素結合 / 光制御 / 光誘起相転移 / トンネル効果 / 絶縁体-金属転移 / 有機・無機ハイブリッド化合物 / 赤外パルスレーザ |
研究概要 |
本研究の目的は、結晶内の水素結合におけるプロトン-電子連動のより直接的な制御法として、レーザを利用した光制御法を開発することにある。具体的には、最近開発された高出力のOPO赤外パルスレーザを用いてプロトン伸縮振動を共鳴励起し、振動励起状態におけるカラム間のプロトン移動(トンネル効果)のパルス的な増大によって、プロトン-電子連動を制御して、新しい機能性を導き出そうとするものである。すなわち、光による電子状態のユニークな制御法を確立することが本研究の目的である。この目的を達成するために、本年度においては、まず、本実験を遂行するに必要な装置の整備と本実験に適した単結晶作成およびその物性評価に重点を置いた。具体的には、光伝導度測定、光誘起ESRおよび光誘起帯磁率測定および近赤外一可視域過渡分光測定のそれぞれが同一の光励起条件下で行えるようなOPO赤外パルスレーザを用いた光ファイバー観測システムを製作し、いまそのテスト中にある。また、研究対象としては、[M (EH_2DAG) (EHDAG) ]・TCNQ錯体(M=Ni,Pd,およびPt)を取り上げ、赤外ペルスレーザ励起に対する応答感度を高めるために新しい水素結合制御法を開発した。その手法は、結晶作成時においてPH制御による脱プロトンを行い、TCNQ錯体にキャリヤ-を注入し、絶緑体一金属転移を起こさせるものである。これにより、プロトン移動に伴う双安定性が確保され、温度降下にともなって大きなヒステリシスが観測された。この実験事実は基礎物性論的にも価値の高いものであるとともに、赤外パルスレーザ励起下におけるプロトン-電子連動に由来する光誘起現象の発現を示唆するものであり、今後の研究の発展が期待される。
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