研究概要 |
30種を超える新規Verdazylラジカルやその電荷移動錯体を合成し、SQUID、ESR、X線、比熱などの測定を行い、以下に示すような興味ある結果を得た。 1) Verdazylラジカル結晶p-DaTPOVがT_c=0.28KのCurie温度を持つ準一次元有機強磁性体であることを見出した。 2) 弱強磁性体TOVラジカル結晶を非磁性還元体(TOV-H)で希釈した混晶(TOV)_<1-x>(TOV-H)_xを作り、その磁性の研究を行った。TOVにおける反強磁性的交換相互作用から、混晶x=0.03,0.05,0,09においては強磁性的交換相互作用が観測された。X線解析結果から、上記の磁性変化の原因を明らかにした。 3) スピンパイエルス転移化合物p-CyDOVについて、強磁場下における磁化測定を行い、p-CyDOVの磁気相図の完成に成功した。純有機中性ラジカル磁性体においては初めての例である。 4) 上記p-CyDOVラジカル結晶について、スピンパイエルス転移に対する非磁性および磁性不純物効果の研究を行い、磁気相図の作成や転移点(T_c)以下の磁気的性質について検討を行った。 5) Verdazylラジカルと電子受容体(TCNQ、TCNQF_4など)の分子性錯体を合成し、その磁性の研究を行った。 6) 一次元強磁性体と一次元反強磁性体のラジカル合金に関する研究を行い、ラジカル置換による磁性の変化に対する詳細な検討を行った。
|