研究課題/領域番号 |
08454229
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八木 寿子 (平井 寿子) 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (60218758)
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研究分担者 |
八木 寿子 (平井 寿子) 東京大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (60218758)
近藤 建一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (50111670)
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キーワード | アモルファスダイヤモンド / C60フラーレン / バンドギャップ / EELS / 炭素新物質 / ナノサイズダイヤモンド |
研究概要 |
アモルファスダイヤモンドという炭素新物質をC60フラーレンより既に合成し、本研究では、C60フラーレンよりの特異性をいかして、新たな機能性を発現させること、及び、更なる新物質を探査することが目的である。このためには本新物質がバンドギャップを始めとして如何なる物性をもっているかを明らかにする必要がある。 本年度は、アモルファスダイヤモンドのバンドギャップを電子線損失スペクトル(EELS)の数値解析を行うことによって算定した。ギャップや状態密度分布の特徴をより明確にするために、天然結晶ダイヤモンド及びナノサイズダイヤモンドについても測定・解析を同時に行い比較検討した。 EELSより得られるエネルギー損失関数をクラマ-ス・クローニッヒ解析し、誘電関数の虚数部分を算出し、バンドギャップを求めた。これによるとアモルファスダイヤモンドのギャップは3.5-4.5eVであり、結晶ダイヤモンドの5.5eVに比べると若干狭くなっている。また、状態密度は結晶に比べてブロードであった。誘電関数の虚数部分のプロファイルはγ点付近の遷移は顕著に現れているが、結晶に現れるX点及びL点における遷移は欠如あるいは極端に弱く、長距離オーダーの周期性の欠落を反映していると考えられる。このことは状態密度がブロードであることとも一致する。 一方、ナノサイズダイヤモンドのギャップの大きさは、3.3-3.5eVと3者のうち最も狭く,状態密度は最もブロードであった。これは、ダイヤモンドは5nmよりサイズが小さくなると、表面エネルギーが高くなりそれ自身では不安定であり、何らかの形で安定化する必要がある。本ナノダイヤモンドの場合、純粋な炭素のみからなる物質であるので、有機基等でダングリングボンドを終端化するのでなく、不規則構造の炭素によって安定化されていると考えられる。このことは高分解能電子顕微鏡観察によって確かめられた。この不規則構造の炭素の存在によって、ダイヤモンドの5.5eVのギャップが大きくブロードニング化されていると解釈される。
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