研究概要 |
[(MCp^*)_3(μ_3-S)_2]^<2+>(M=Co,Rh,Ir)の2電子還元体は無水アセトニトリル中でCO_2と反応してシュウ酸を生成する。特に、N_2気流下では安定な[(IrCp*)_3(μ_3-S)_2]^Oが、CO_2下ではCH_3CNと反応して一つのCp^*基にCH_2CN^-が付加した[(Ir-η^5-Cp*)_2(Ir-η^4-Cp^*CH_2CN)(μ_3-S)]^+ ([1]^+)が生成する。アセトニトリル付加体は1分子のCO_2と付加体を形成する。また、その溶液を電気化学的に1電子還元(-1.50V vs.Ag/AgCl)を行うと、もう一分子のCO_2が付加してた後に、金属-イオウクラスター上での2分子のCO_2のカップリング反応によりシュウ酸が生成する(電流効率60-80%)。このようにIr錯体に関しては[(Ir-η^5-Cp*)_2(Ir-η^4-Cp^*CH_2CN)(μ_3-S)]^+が反応活性種であることが明らかにした。また、CO_2還元反応初期のみ少量のHCOO^-が生成(60%クラスター基準)することから、μ_3-S配位子がCH_3CNからプロトンを引き抜き、生じたCH_2CN^-がCp*環にトラップされて、[1]^+が生成したものと思われる。さらに、反応溶液の赤外スペクトルの詳細な解析により、1分子のCO_2はμ_3-S,もう一分子のCO_2は[1]^+の1電子還元によりIr-Ir結合の切断で生成した配位的不飽和なIr原子に結合していることが明らかとなった
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