研究概要 |
磁性流体は、粒径10mm程度のマグネタイト等の強磁性体微粒子の表面に界面活性剤を吸着させることにより、溶液中に分散させたもので、本来は黒色粘重なものである。この磁性流体コロイドは、単磁区微粒子の集合体として安定に存在し、外部磁場に対して超常磁性を示す。本研究の目的は、溶液中に磁性流体コロイドを希釈懸濁させ、この状態において、様々な溶質分子(色素)を共存させ、磁性流体微粒子との相互作用によって、共存溶質分子の分別を行うことにある。すなわち外部磁場を印加すると磁性流体コロイドはクラスターを形成し、この動きに対応して、共存する溶質(色素)の挙動も変化していくと考えられる。本年度は特にauthracene誘導体について、磁性流体希薄懸濁液における印加磁場変化を調べた。antharcene誘導体としては、antharcene, 2-methylanthracene, 9-methylanthracene, 9, 10-dimethylantharcene, 9-phenylanthracene, 9, 10-diphenylanthraceneについて調べた。また磁性流体としては、市販のタイホ-工業製HC50(表面活性剤:オレイン酸)を用いた。なお励起には光源としてHe-Cdレーザー(325nm)を照射したが、偏光面は1/2波長板を用いて、磁場に対して水平および垂直に励起した蛍光を測定した。この場合蛍光はセル前面(励起光側)がら測定した。いずれの場合も、磁場と垂直な励起によって、蛍光強度は増大するが、磁場と平行の励起では蛍光が減少する蛍光がみられた。個々の誘導体については、ほぼ同様の挙動を示したが、メチル誘導体とくに9, 10-dimethylanthraceneは、anthraceneと比較して磁場の印加に対して大きく変化した。なおいずれの場合も磁性流体濃度が1 mg/mlを越えると、蛍光の磁場に対する変化量も一定になる場合が多い。なお界面活性剤について、第1層をlinoleic acid 第2層をpolyethyleneglycollaurylether (PGLE)とする水溶性磁性流体についても検討中である。
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