研究概要 |
1 第46回錯体化学討論会(平成8年9月,東大阪市)において研究発表「水-アルコール混合溶媒中のコバルト(II)イオンの溶媒和構造」を,また,第19回溶液化学シンポジウム(平成8年11月,佐賀市)において研究発表「X線回折測定による水-アルコール中の選択的溶媒和の観測と構造決定」を行い,水-エタノール,水-1-プロパノール,水-1-ブタノールなどの混合溶媒を溶媒とする過塩素酸コバルト(II)および過塩素酸マグネシウム(II)溶液のX線回折測定から得られた結果を報告した。同形置換法により得られた金属イオンを中心とする動径分布関数の解析により金属イオンに配位している水分子とアルコール分子の数を決定し,水分子による選択的溶媒和の程度を見積もると同時にアルコール分子の配向構造を明らかにした。 2 研究発表「エチレングリコール中のコバルト(II)イオンの溶媒和構造」および「グリコール溶液中のコバルト(II)イオンの溶媒和構造」を上記学会で行い,第一配位圏に存在する溶媒分子の配位構造を明らかにし報告した。混合溶媒系についてはこれから行う予定である。 3 第31回配位化学国際会議(平成8年8月,バンクーバー)において「Solvation Structure of Cobalt (II) Ion in Donor Solvents」を,第5回ユーラシア国際化学会議において招待講演「SolvationStructure of Cobalt (II) Ion in Non-Aqueous Solvents」を行い,種々の非水溶媒中のコバルト(II)イオンの第一配位圏の溶媒分子の配向状態を同形置換法によって明らかにした結果を報告した。水を含む混合溶媒系についてはこれから測定する。 4 現有の強力X線源を装備したイメージングプレート迅速X線回折装置が遷移金属イオンを含む溶液に対して適用可能かどうか,蛍光X線の除去方法を中心に現在検討している。
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