(1)イメージングプレートX線回析測定においてジルコニウムフィルターを用いた蛍光X線の除去法は非常に有効で、これまで測定が困難であった遷移金属類を含む系に対して有用であることが実証され、新たな方法として種々の系への適用の展開を可能にした。 (2)混合溶媒中の金属イオンの選択的溶媒和の定量に対して同形置換溶液X線回析法が強力な研究方法であることが示された。 (3)アミド-水混合溶媒系におけるコバルト(II)イオンに対する選択的溶媒和力の順は、本研究で用いたアミドに関してFA>NMF≧DEF>H_2O>DMF≫NMA【approximately equal】DMA>DMAであることが明らかにされた。 (4)アミド-水系における選択的溶媒和力の順序を支配する因子として、立体障害による効果が最も大きいが、この条件が同等のときには、アミドの電子供与性よりもむしろ電子受容性が重要な因子となっていることを明らかにした。 (5)選択的溶媒和に対して、アミド-水間の水素結合を通じたクラスター形成が大きく関与していることが示唆する結果を得た。クラスター形成は金属イオンに配位できる溶媒の有効濃度を減少させ、有効モル分率を変動させることにより影響を及ぼすという新しい考え方を提出した。 (6)リン酸トリメチル-水系においても立体障害の効果は選択的溶媒和に大きく影響していたことから、アミド-水系の結論が非水溶媒-水混合溶媒系に対して広い共通性をもつと考えることができた。
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