1.今年度研究実績概要 (1)ショウジョウバエ核DNAとヒト核DNAを鋳型として、PCR法を用いてOR遺伝子の一部をクローニングした。これらのクローンをプローブとして、ショウジョウバエのジェノミックサザン解析およびジェノミックライブラリーのスクリーニングを行った。(2)ラットで報告されたフェロモンレセプターおよび線虫で報告されたジアセチルレセプターのホモログがショウジョウバエゲノム中にも存在するかどうかを確かめるために、これらをプローブとして、ショウジョウバエのジェノミックサザン解析を行った。(3)OR遺伝子の集団遺伝学的解析の参考とするために、Rh3遺伝子(ショウジョウバエのオプシン遺伝子の一つで、7回膜貫通型レセプターをコードする)の配列を用いて、感覚系に関与するレセプター遺伝子の集団遺伝学的解析方法を探ることにした。キイロショウジョウバエおよびその近縁種からRh3遺伝子を、クローニングし、シークエンスした。 2.今後の研究展開 (1)ラットやヒトでは複数のOR遺伝子がクローニングされているが、これらの間で保存されているのはモチーフ様の短い配列に過ぎないため、このような保存領域にプライマーを設定し、PCR法によるOR遺伝子のクローニングを行う。様々な大きさのPCR産物が得られる可能性が高いので、OR遺伝子クローンをプローブに用いて、PCR産物をスクリーニングする。(2)ショウジョウバエ(無脊椎動物)で、Gタンパク共役型レセプター以外の分子によって匂い刺激を受容している可能性を検討する。味覚系も嗅覚系と同様に多様な味物質を受容するシステムであり、様々なイオンチャンネルやレセプターが関与していることが報告されているので、参考にする。
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