本研究期間中に得られた重要な成果を以下に要約する。 1.二成分制御系タンパク質であるPhoBに着目し、その分子構造を明らかにした。特にRNAポリメラーゼとの相互作用に使われる領域ならびにDNA結合に使われる領域を明らかにした。 2.PhoBのDNA結合ドメインがヘリックス・ターン・ヘリックス構造であり、アミノ酸配列から共通性がないが、多くのヘリックス・ターン・ヘリックス構造を有するDNA結合タンパクと類似性があることを明らかにした。 3.大腸菌全ゲノムのDNA構造をシステマティクな方法を用い明らかにし、そのデータを基にしてゲノム中に存在する二成分制御系に属する遺伝子の検索をおこない、新たな二成分制御系遺伝子を同定した。 4.二成分制御系タンパク質の存在が報告されていない分裂酵母を研究の対象に選び、この生物において二成分制御系の存在をはじめて明らかにした。分裂酵母においては二成分制御系はMAPキナーゼの上流に位置しており、細胞周期やストレス応答に重要な役割をはたしていることが判明した。 5.コレラ菌の病原性に関係があると考えられるRNAポリメラーゼのシグマサブユニット・σ38(RpoS)のクローニングに成功し、その構造と機能の解析をおこなった。 以上のように本研究はこの2年間に一応の目的に達成し、その経過を9編の論文に収めることができた。
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