研究分担者 |
露崎 史朗 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10222142)
植村 滋 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (80250497)
大原 雅 東京大学, 大学院・総合文化研究広域システム科学系, 教授 (90194274)
佐藤 利幸 信州大学, 理学部・生活科学科進化生物学講座, 教授 (00154071)
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研究概要 |
北海道の低標高域に残存する北方混合林は,その緯度帯の森林植生としては植物種多様性が高い系である.本研究では,北海道の北方混合林を対象に,多年生草本の種多様性が維持されるメカニズムを解き明かすことを目的とした. 札幌市東郊の野幌森林公園内と,北海道大学苫小牧演習林内およびその近郊の固有林内保護林で調査を開始した.苫小牧は野幌と比べて冬期の積雪量が少なく,春先まで土壌凍結の影響が残るために,展葉季節が1ヶ月程度遅れていた.また,さらに大きな環境傾度に沿った林床群集パターンを比較するために,知床半島の遠音別岳周辺で,海岸近くのエゾマツ.ミズナラ混合林から中腹のアカエゾマツ・トドマツ亜高山帯林,カイマツ帯にかけて草木群集とシダ群集のセンサスを行った。いずれのセンサスでも,1m幅,20m長のベルトトランセクトを調査プロットの基本ユニットとした.ハイマツ帯以外では,20平方メートルで25〜30種が出現し,種数はプロットサイズの対数に対して線形に増加していた.苫小牧では,1/3程の遮光区をまじえて,出現種の密度・サイズ(草丈)の季節変化を2週間間隔で追跡した.苫小牧と知床では,季節的な温度・光環境のセンサスを,データロガーを用いたシステムで実施した. 来年度は,以上の基礎調査で明かにした群集パターンに基づいて,共存する種間の形態,繁殖特性,季節戦略,そして微環境のあいだのシンドロームの解明を進める.
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