研究分担者 |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (30221930)
植村 滋 北海道大学, 農学部附属演習林, 講師 (80250497)
大原 雅 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90194274)
佐藤 利幸 信州大学, 理学部, 教授 (00154071)
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研究概要 |
北海道の低標高域に残存する北方混交林は,その緯度帯の森林植生としては植物種多様性が高い系である.本研究では,北海道の北方混交林を対象に,多年生草本の種多様性が維持されるメカニズムを解き明かすことを目的とした. 前年度に引き続き,札幌市東郊の野幌森林公園内と,北海道大学苫小牧演習林内およびその近郊を中心に調査を継続した.苫小牧では2年間の林床草本群集のフェノロジーについてデータを蓄積し,融雪と林冠の展葉開始の年変動にともなって,積算受光量を一定に調節するような季節性の変化が存在することを見いだした.さらに季節に沿った各部分重の間の相対生長関係を6種について追跡調査し,種差が少なく葉に多くを分配するパターンを記録した.繁殖に注目した調査としては,一回繁殖型植物のオオウバユリ個体群の空間パターンを継時的に解析した.また,あらたに円盤接触法を考案して,葉群の垂直構造の定量的解析を行なった.選択的な採食圧にともなう群集の変化の解析を,夏季の馬の林間放牧系で調査した.さらに,対象地域の広域分布特性を空間スケール依存性として把握するために,シダ植物群集について分析を行なった. 以上の基礎調査で明かにした群集パターンに基づいて,共存する種間の形態,繁殖特性,季節戦略,そして微環境のあいだのシンドロームについて,考察を行なった.
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