フィトクロムBの核局在については、以下の研究を行った。先ず、京都大学・理学部・岡田清孝教授と共同で、核内で働くと推定される光形態形成のキ-因子の一つHY5蛋白質を大腸菌で発現させ、フィトクロムBとの結合の有無を試験管内で調べたが、結合は認められなかった。次に、核内フィトクロムの生化学的研究を進める目的で、エンドウ芽生えより核の単離を試みた。その結果、フィトクロムBを含む核が比較的容易に単離できた。来年度は、この系を用い、核内フィトクロムBの生化学的研究を進める。 アクティベーションタグ系統の作製と解析に関しては、植物ウィルス由来の35Sエンハンサーを4コピー持つ植物形質転換用プラスミドを、Max Planc研究所(ドイツ)のR.Walden博士より入手し、真空浸透法による形質転換を試みた。その結果、従来の報告より高い効率で形質転換体が得られた。次に、得られた700系統について系統毎に種子を集め(T2種子)、T2種子を用いたスクリーニングを行った。フィトクロムA特異的な反応である連続近赤外光による下胚軸の伸長阻害がより弱光下で起こるものをスクリーニングしたところ、同条件下で下胚軸が短くなる系統が2つ得られた。現在、これらの系統について、詳しい解析を進めている。また、本研究に直接関係ないが、花茎特異的な伸長阻害を示す系統が一つ見いだされたので、これについても解析を進めている。来年度は、光に関する表現形が見られた2系統の解析を進めるとともに、より多くの形質転換系統を作出しスクリーニングを行う。
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