光呼吸は無駄な代謝であると考える研究者が、現在でも数多くいるので、光呼吸の役割を明確にする目的で、光呼吸系の鍵酵素の一つであるグルタミン合成酵素(GS2)を増強したタバコと逆に軽減したタバコについて、光傷害の程度を比較した。その結果、光呼吸系代謝能の低いタバコは光傷害を受けやすく、逆に光呼吸系代謝能の高いタバコは光傷害を受けにくいことが判明した。これは光呼吸が無駄な代謝ではなく、光傷害を回避する重要な機能を持つことの証明である。 光呼吸が無駄な代謝であると考える研究者が根拠としているのは、光呼吸で発生するCO2が葉から出て失われるという点であるが、これは誤解であって事実ではないことを示した。光呼吸で発生するCO2がすべて再固定される場合には、光呼吸系(C2回路)とカルビン回路(C3回路)とは連動したC2/C3回路を形成しており、このC2/C3回路は外部からのCO2吸収がないときもエネルギー消費が非常に大きいことが判明した。 光呼吸系を担う酵素のうち、GS2、catalaseは微量の過酸化水素、低CO2などにより誘導を受けることが判明した。植物は酸化ストレスを検知する分子機構を備えているが明らかである。
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