研究課題/領域番号 |
08454260
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
保尊 隆享 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (70135771)
|
研究分担者 |
若林 和幸 大阪市立大学, 理学部, 助手 (10220831)
神阪 盛一郎 大阪市立大学, 理学部, 教授 (60047214)
|
キーワード | 細胞壁 / キシログルカン / 成長 / アズキ / エンド型転移酵素 |
研究概要 |
植物の成長・分化や形態の調節において中心的な役割を果たしている細胞壁多糖がどのような過程で合成・分解されるかは、植物生理学上の重要な課題である。双子葉植物の細胞壁構築の核となるキシログルカンの分解経路を解析したところ、この多糖は単糖やオリゴ糖に直接分解されるのではなく、分子量数万程度の中間的な大きさの多糖を経由する二段階過程により分解されることが示唆された。そこで、この反応に関与すると推定される細胞壁酵素を抽出・精製し、その作用機作を解析した。 キシログルカンの分子量と比例した呈色を示すヨウ素法を指標として、アズキ上胚軸細胞壁より1M NaClで抽出されるタンパク質画分に含まれるキシログルカン分解酵素を精製した。低分子化を引き起こす活性画分を数種のFPLCカラムを用いて精製したところ、最終的に少なくとも6つの画分に分離された。精製酵素はゲルろ過カラムでは吸着のため分子量より遅れて溶出したが、SDS-PAGE上ではいずれも約32kDaの主バンドを示した。 精製したキシログルカン分解酵素の作用様式を明らかにするため、様々な大きさのキシログルカンと反応させ、産物をHPLCで分析した。高分子のキシログルカンに作用させると分子量数万の最終産物を生じたが、分子量数万以下のキシログルカンには作用しなかった。いずれの場合もオリゴ糖や単糖の生成は観察されなかったが、わずかではあるが還元力の増加が認められた。また、エンド型キシログルカン転移酵素の活性は、オリゴ糖をアクセプターとしたときのみ検出され、分子量数万単位の加水分解が本酵素の主反応であることが示された。以上のように、今年度の研究の結果、キシログルカンの二段階分解過程を司る新規細胞壁酵素が精製された。
|