本研究では、IGF-Iが人類集団の中でいかに身長の高低に関与するかを明らかにすることを目的とし、熱帯地方に住む低身長の民族、GH抵抗性ラロン様小人症患児を対象にIGF-Iのスクリーニングとin vitroにおける検索をおこなった。また、対照としてカニクイザルの血液を用いた。 思春期におけるIGF-Iのスパートを終えたと考えられる東南アジア4集団の20代の試料を用い比較研究の材料とした。全検体をまとめてみると値は年齢と共に低下していたが、集団毎に結果を検討すると集団間に違いが見られることがわかった。 カニクイザルを用いた結果、血中のIGF-Iの値はヒトの3倍ほどあり、地域・あるいは集団ごとでIGF-I値の経年変化に差が見られた。 低IGF-Iいう生理的状態が遺伝的背景を伴っているのか調べるために、in vitroの培養系で検索をおこなった。GH添加は細胞増殖に直接影響を及ぼさないと考えられた。一方、GH添加時における細胞からのIGF-I放出の増加については確認されなかった。
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