研究課題/領域番号 |
08455008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白木 靖寛 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00206286)
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研究分担者 |
宇佐美 徳隆 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20262107)
近藤 高志 東京大学, 工学系研究科, 助手 (60205557)
矢口 裕之 東京大学, 工学系研究科, 助手 (50239737)
尾鍋 研太郎 東京大学, 工学系研究科, 助手 (50204227)
伊藤 良一 東京大学, 工学系研究科, 助手 (40133102)
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キーワード | 間接遷移型半導体 / シリコンゲルマニウム / アルミニウムガリウム燐 / 隣接閉じ込め構造 |
研究概要 |
間接遷移型半導体は、光学遷移確率が、バンド構造に起因して小さいため、発光素子への応用には不利であると一般的には考えられているが、間接遷移型半導体を利用して高効率の発光が実現できれば、材料の選択肢を拡大するだけでなく、種々の高機能デバイスへの応用が期待される。そこで、間接遷移型半導体に対して、高精度に制御されたヘテロ構造からなる超構造半導体を導入することにより、発光特性を向上させることを試みた。間接遷移型半導体であるSiGe系およびAlGaP系に、隣接閉じ込め構造という新しい超構造を適用した。SiGe系隣接閉じ込め構造は、Si基板上に歪み緩和をさせたSiGe膜を成長し、これを疑似的な基板として用い、その上に引っ張り歪みSi量子井戸、圧縮歪み(Si)Ge量子井戸を成長させた。前者が電子に対する井戸、後者が正孔に対する井戸となることが理論的には予想されていたが、実際に理論通りのバンド構造が形成されていることが、バンド構造を反映した量子サイズ効果により確認された。また、フォノンを介在しない発光が、通常の量子井戸と比較して著しく強くなることが観測された。その起源として、励起子の局在が関係していることが時間分解分光から明らかになった.AlGaP系についてはAlP/GaPのタイプIIのヘテロ界面をAlGaPバリア層で挟むことにより、隣接閉じ込め構造を実現した。伝導帯におけるΓ点-X点間のエネルギー差、および遷移に関与する正孔の種類の影響を調べる目的で、In-GaP歪み緩和層を利用し、隣接閉じ込め構造に引っぱり歪みを印加した。その結果、適度な歪みの下では、Γ-X混合効果の増大により、発光強度が増大するが、過度の歪み下では、結晶性の低下により発光強度は減少した。また、歪み揺らぎに起因して、キャリアの閉じ込め層において、大きなエネルギー揺らぎがあることが明らかになった。
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