GeF_4-Si_2H_6系熱CVD法において見出された非晶質基板上への初期結晶核の形成の制御性を改善するため、CVD成膜装置の一部を改良して、原料ガス(GeF_4)微量導入を高速で制御可能な流量制御装置を設置した。この装置をもちいて、実際に核成長を行ない、初期結晶核の形成の制御に対する基本性能をしらべ、特に、ガス導入開始直後(<60sec)の流量制御性が改善されることを確認した。 各種成長条件での核形成の検討の結果、初期結晶核の形成は、核の形成条件や形成される核の特徴から2つのモードに分類できることが分かった。SiO_2/Si基板を用いた検討では、前者のモードは選択成長がおこる条件近傍で見られ、核形成密度が10^<6〜7>cm^<-2>程度と小さく、かつ、結晶核の粒径サイズが良く揃っているという特徴があり、他のモードは、非選択的な成長が起こる条件下でかつ成長初期に限って認められ、核形成密度は一般に10^<10〜11>cm^<-2>程度大きく、かつ、結晶核のサイズに分布が見られるいう特徴を持つことが明らかとなった。これは、核形成に関わる化学過程で説明でき、前者は、原料ガスの表面反応により基板上の核形成サイトで核形成が優先的に起こり、後者は、原料ガスの分解が基板近傍で起り、気相での核形成が起こるためであると考えることによって説明される。 核形成の膜の成長と同様、この核形成は原料ガスの流量、成長温度、反応圧力などによって依存し、この2つのモードの違いは選択成長条件とよい対応が見られることが分かった。 また、各種基板材料を用いた検討では、選択成長条件でも各種基板により初期結晶核の形成の様子が異なり、核形成は基板上での原料、特に、GeF_4の活性化と密接な関係があることが示唆された。
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