ジシラン(SiH_2H_6)と弗化ゲルマニウム(GeF_4)を原料ガスに用いる新しい熱CVD法により500℃以下で堆積される多結晶SiGe薄膜について、膜組成、結晶性と堆積条件(堆積温度、原料ガス流量比、反応圧力)について検討した。その結果、(1)推積するSiGe膜の組成は基板温度に強く依存し、400℃以下の条件では一般にGe組成の高い膜(Ge組成>80%)が堆積し、400℃以上の条件ではSi組成が急激に増大すること、(2)基板温度450℃の条件においては、SiH_2H_<6/>GeF流量比が>13以下の場合はGe組成が80%を超えるSiGe膜が堆積するが、SiH_2H_<6/>GeF流量比が20以上になるとSi組成が90%を超えるSiGe多結晶膜が堆積できること、(3)Si組成が高い堆積条件においては、成長速度が<1Aの場合にはSiO_2基板上から非晶質層の堆積を伴うことなく直接、結晶成長が起こること、(4)上記条件において、成長初期にはSiO_2基板上に結晶核の形成が見られ、反応圧力を選ぶことにより、その密度を10^9-10^<12>/cm^2にわたって制御できること、さらに、(5)反応圧力の選択により、SiO_2/Si基板においてSi上にのみ膜が堆積する選択成長が実現することがわかった。 そこで、膜堆積初期に反応圧力をやや高めに保ちSiO_2基板上に結晶核を形成した後、反応圧力を低下させて成長条件を選択成長条件へと移行させ、形成された核を選択的に成長させ屡ことによって、膜厚200nmの膜において結晶粒径(100-150nm)の制御された結晶性に優れたSiGe膜(Si組成>95%)の堆積が実現できることを明らかにした。
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